古文が苦手という生徒さんも多いかと思いますが、その代表的な原因として以下の3つが考えられます。
1.古文単語や古典文法がよくわからないまま「なんとなく」古文を読んでいる。
2.古文を読む上で欠かせない時代背景や当時の文化などの古典常識が欠如している。
3.単語や文法のインプットはできているが、アウトプットの訓練をしていない。
・同じ日本語だからと甘く見ない
これらの要因を克服するポイントについてお話したいと思います。
まず、古文の勉強を大してしてもいないのに苦手意識だけを持っている生徒さんが多く見られます。古文が苦手な生徒さんの多くに「古文は日本語だからそこそこ読めるに違いない」という思い込みがあるのではないでしょうか。
確かに古文は歴とした日本語ですし、世界に誇れる日本の古典文学、文化ですが、外国語を学ぶ時と同じくらいの努力と覚悟が必要であることを認識しなければなりません(苦手意識を持つのは最低限の努力をしてからでも遅くはありません)。
つまり「同じ日本語だから、なんとなく解けるのではないか」という甘い考えをもっているからこそ、問題が解けないとすぐに苦手意識を持ってしまうことが多いのです。
古文単語は現代の日本語の単語とは意味が異なるものが多く、活用も発音も文法も異なります。
・覚える単語数は?
まず、覚えなければならない単語の数を英語を例にとって比べてみます。共通テストに出てくる英語の総単語数は、5500語程度です(早慶の文系入試英語レベルだと6000-7000語くらいの暗記が必要になるでしょう)。
英語は小中高と何年もかけてこれだけの数の英単語を覚えるわけですが、古文は現代語と意味が異なるものだけを覚えればいいので、どの単語集も大体300-360語におさまっています。
1日5個ずつ覚えたとして、たった2か月程で入試に必要な単語を全て覚えられる計算になります。
要は外国語を学ぶのと同様の努力や覚悟と言っても、古文単語の場合は超難関大学でさえ500-600語程度覚えれば良いのです。英語などに比べると10分の1以下の単語数で済みますよね。
さらに文法も現代国語文法と異なる部分だけを覚えればいいので、総量は英語に比べれば決して多くはありません(ただし、現代文に対する基本的な国語力そのものが不足している場合はより多くの時間がかかるケースがあります)。
英語や数学などに比べると古文は比較的短期間で仕上げることが可能な科目だとは言えますが、それでも最低1年をかけて取り組む学習計画を立てることをおすすめします。
・直訳で意味が通じるのが古文
古文は、用言(特に助動詞)の活用や意味、現代語訳を「一言一句正確に」覚えることで大幅な得点アップが見込めます。なぜなら、古文は直訳でほぼ意味が通じるからです。
英語のように、根本的な文型や文法体系の違いから、和訳できるようになるまでに時間がかかるということはありません。パズルのように現代語訳を当てはめ、そこに省略された言葉を補っていくことができれば、古文の現代語訳は完成します(文法は正確に読解するための道具に過ぎません)。
・古典常識は読解の要
2022年度の共通テストの古文で、「とはずがたり」が出題されました。解説する側も思わず言葉を選んでしまうような内容で、現代の感覚、常識からすれば「えっ14歳で?しかもこれってドロドロの愛欲物語じゃないの?」と思ってしまうかもしれませんね。腹違いの兄と妹という設定に驚いた受験生も多かったのではないでしょうか。
しかし平安時代の貴族社会では、近親者同士の結婚や恋愛は普通のことでした。古文には恋愛の話がよく出てきますが、例えば千年も前の恋愛模様ですから、そのプロセスや貞操観念は今と大きく異なっています。単に現代の常識だけで読み進めていくと理解することは困難です。
また、登場人物も名前ではなく所謂官職名などで書かれていることが多いので、官位(官職や位階)の序列を理解していないと人物関係を整理することができません。古典常識は古文の世界観をイメージするために必要不可欠な基礎知識と言えます。
・アウトプットの重要性
知識をいくら詰め込んでも、それを実際の問題文で運用できなければ意味がありません。
その為、高3の夏ごろまでは、教科書の全文品詞分解・全文現代語訳を地道に進めることが肝要です。頭に入れた知識は実際に使うことで定着していきます。インプットとアウトプットの何度も繰り返すことが重要になります。
・おわりに
入試古文の必要性については様々な議論がありますが、古文を通して日本文化の多様性に触れることは、皆さんが将来、世界へ羽ばたいていく時の大きな財産になると思います。
例えば、現代語の「た」は、平安時代には「き・けり・つ・ぬ・たり・り」という6つの助動詞で細かく使い分けられていました。今より時間の流れが緩やかであった時代、四季の移り変わりや日々の出来事を、より細やかな時制で表現していたのです。
古文に触れることで、当時の人々の感覚や、そこに書かれた名所、自然などにも思いを馳せ、日本の風土や文化を再発見することができるのではないかと思います。
枕草子や源氏物語が書かれたのは今から千年以上も前のことです。当時の日本人の自然や四季の移り変わりなどに対する美意識や鋭い観察眼、或いは貴族社会の中の恋愛模様や栄枯盛衰を見事に描き切ったこれらの古典文学はこの当時の世界に類を見ない至高の作品と言ってよいでしょう。
家庭教師アルファ・ネクサスの家庭教師は上記を踏まえて基本から楽しく大学受験に必要な古文の攻略法を学べるサポートを実施しています。
古文の学習を通して生徒さんの人生がより豊かなものになることを願っています。
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