度重なる苦難を乗り越え、満を持して打上げに臨んだH3ロケット初号機でしたが、世界初の画期的なLE-9(第1段用液体燃料ロケットエンジン)は正常に作動したものの第2段エンジン(LE5-B)の点火に失敗し、やむなく司令破壊となってしまいました。
その後約9ヶ月の期間を経てH3ロケット試験機2号機の打ち上げは2024年2月15日から天候の関係で一旦延期となりましたが、2024年2月17日に打ち上げは完全に成功しました(▶動画)。▶偉業達成おめでとうございます。
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※昨年(2023年3月)の失敗は痛恨の極みではありますが、しかし、一方で開発に最も苦労した珠玉の「LE-9(第1段用液体燃料ロケットエンジン)」は見事正常に作動したにもかかわらず、その偉業を丁寧に報じるメデイアは極一部を除きほとんどありませんでした。失敗ばかりを強調するその報道姿勢には疑問を感じざるを得ません。
新しいことにチャレンジする際に最も大切なことは、教育の分野も同じですが、当事者や周囲を萎縮させることではなく、失敗を反省し、その失敗から学んだ上での入念な努力に裏打ちされた次の失敗も恐れない、決して諦めない、常に前向きで謙虚な姿勢、精神だと当社は考えます。
▶H3ロケット試験機2号機フライトシーケンスCG
そして2024年7月1日。H3ロケット3号機の打上げは見事に成功し、先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)を無事予定の軌道に乗せることができました。JAXA他関係者の皆様に心からお祝い申し上げると共に長年に亘る努力と失敗を次に活かすことができる不屈の精神に心より敬意を表します。
受験も人生も、家庭教師会社としてもかくありたいと考えます。
打上げ翌日には、なんとH3ロケットの新しい最高責任者である▶有田誠プロジェクトマネージャと1対1でお話することができました。
非常に貴重なお話を拝聴するという、この上ない機会をいただくことができたのは望外の巡り合わせです。この場を借りて御礼申し上げます。
抜きん出た能力はもちろんですが、前任者の岡田匡史プロマネ(現JAXA理事)然り、はやぶさ初号機の川口淳一郎プロマネ然り、やはり人格者でないとJAXAのプロジェクトマネージャは務まらないのだなぁと改めて思った次第です。
以下に掲載した画像や動画は「2023年3月6,7日」及び「2024年7月1,2(深夜)日」に当社が撮影したものですので、よろしければご覧ください。
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★H3ロケット初号機編 3号機編に続く
🔽種子島 南種子町にて2023年3月6,7日に当社撮影
また、一足先に▶小型月着陸実証機・SLIMの月面着陸が2024年1月20日に見事成功しました。加えて月面高精度着陸は世界初の大快挙です(着陸地点の誤差は55m程度で高度50m付近での位置精度は3~4m程度)。
2機の探査ロボット(LEV-1・LEV-2)の分離にも成功し、LEV-2はSLIMの撮影に成功。世界初の完全自律ロボットによる月面探査と世界初の複数ロボットによる同時月面探査を達成しました(LEV-2は世界最小・最軽量の月面探査ロボット)。
→→ 当初太陽電池が発電しないという不具合が発生してしまいましたが、やはりSLIMはやってくれました。
2024年1月28日23時頃に電力が月の自転や公転等により見事回復し、再び地球との通信を確立。
JAXA関係者、そして大小関連企業の皆さんが「はやぶさプロジェクト」の時と同様に日本の底力を世界に示してくれました。
なんと言っても日本は世界で3番目に「▶工学実験衛星ひてん」計画で人工物を月面に届け(詳しくは「▶あの日のはやぶさ」ひてんの稿参照)、世界初の小惑星サンプルリターン計画「はやぶさ初号機」・「はやぶさ2」を成功させた国ですからね。
早速近くにある▶岩石(愛称:(トイ)プードル)の画像を地球に送信。着陸地点での夕日が沈んだため2月1日以降は2週間程度「休眠」となりました。
ここまで収集できた▶マルチバンド分光カメラ(MBC)他による様々なデータ等から月の起源に迫るさらなる科学的成果を収めてくれることを期待しています。
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▼月面で第3回目の越夜成功
月の昼は約プラス110℃、夜は約マイナス170℃になるので、工学的なことを考えれば半導体を始めとする精密機器がとても持つとは思えない中でも技術者、研究者達が敢えて「休眠」としたところに彼らの希望と常に前向きな精神が感じられます。さすがに通信の【再々】確立は無理だったようですが、私達はそのような姿勢にも学ばされ、勇気づけられます(▶月の灼熱地獄の中のSLIM:第1回目の月の越夜後)。受験生を含む今の自分に満足していない多くの生徒さん達もきっとそうではないでしょうか。
→→ と書きましたが、なんと2024年2月25日~26日にかけての運用でSLIMに向けてコマンドを送信したところ▶応答があり、通信機能を維持して夜を越したことが確認されたとのこと。にわかには信じられない思いですが、SLIMはまたしてもやってくれました。SLIMとその関係者の皆さん、そして日本の技術力と志は本当に凄いですね。心の奥底から励まされるような気分です。
→→→ 上述の通り極寒の月の夜を1回越えた(越夜)だけでも奇跡の復活であるにもかかわらず、SLIMは同3月27日夜に▶2回目の越夜に成功しました。筆舌に尽くしがたいほど逞しい精密機器群、そして運用チームの不屈のチャレンジ精神に今回も只々脱帽です。
更に2024年4月23日の夜には驚くべきことに▶第3回目の越夜に成功。もはやSLIMは不死鳥のごとくですね。
基本的に月面で越夜に成功してきた探査機には放射性同位体が搭載されており、その崩壊熱を利用して機体を極低温から保護する仕組みになっていますが、SLIMには放射性同位体は搭載されていません。にも拘らず3回もSLIMの「日本製高集積半導体」が極低温に耐えたという実績から得られる貴重なデータは今後の月探査に必ず活かされることでしょう。
▶第2回目の越夜成功(通信が確立)した頃の月(月齢16.4:当社撮影)
▶第3回目の越夜成功前(月齢5.7と6.7の比較:当社撮影)
越夜が成功する前からSLIMは既に100点満点の試験で200点、いやそれ以上の結果を出してくれていました。しかも、本来は失敗とされた着陸時の姿勢の不具合も実は月面調査のしやすさ、越夜の可能性を高めるという視点に立つと▶結果的に願ってもない最高の姿勢だったことがわかりました。なんと当初の計画からすれば失敗とされたものが、偶然とは言えそのまま大成功となった実例です。
それまでの入念な事前準備、不断の努力が失敗から成功を引き寄せるだけではなく、それに満足せず謙虚に、虚心坦懐に次に向けた工夫を続ける姿勢。これらのエピソードは、
【たとえ学校や社会でいろいろ失敗したっていいじゃないか、その時は凹んでも、また諦めずにやがて再起すればきっと次に繋がるさ】という気持ちにさせてくれます。
教育に携わる者としては坂井SLIMプロジェクトマネージャの2009年の▶言葉(母校の後輩へのメッセージ)も印象に残っています。
今後数年以内に打ち上げが予定されている「▶月極域探査ミッション(LUPEX)」や遠大な計画である「▶火星衛星探査計画MMX(サンプルリターン)」も必ず成功するに違いありません。
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※2024年1月26日未明の▶満月及び同29日未明の月齢17.2の▶月の全景と拡大画像(通信再確立直後)。
▶1月30日と31日のSLIM着陸地点の影の様子を比較。着陸地点に月の夕闇が迫っているのがわかりますが、SLIMはこの直後の2月1日から「越夜」すべく暫く月の夜に入りました(いずれも当社撮影)。
▶2月7日未明の地球照(地球の反射光で月の夜の部分が照らされる現象)。極寒の中、一人ぼっちでいるSLIMの大凡の位置がわかります。
2月7日月齢26.4(逆三日月)と13日月齢3.5(三日月)の▶地球照を比較。
SLIMの世界初高精度月面着陸「成功」おめでとうございます。山川理事長や國中所長の記者会見前の表情を見た時はかなり焦りましたが、結果は大快挙達成でした。ただ一部の記者の質問レベルと志の低さには正直がっかりです。#JAXA #SLIM #小型月着陸実証機 #SLIM月着陸ライブ #宇宙つまみぐい #JAXA研開 pic.twitter.com/j8VueF3GQk
— 家庭教師アルファ・ネクサス (@Alpha_Nexus_EI) January 19, 2024
今後の一大プロジェクトである世界初の「▶火星衛星探査計画(MMX:Martian Moons eXploration):2026年打ち上げ予定」からも目が離せません。そのためにもH3ロケット試験機2号機の今回の成功が欠かせませんでした。JAXA他の皆さんにはこれからまた何があっても挫けることなくチャレンジを続けて欲しいですね。
様々なプロジェクトの成功を心から願っています。
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